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図書館運営協議会

図書館運営協議会 第一期答申概要版

「市民サービスの向上を図るための図書館のあり方について」答申
答申の概要

1. 公共図書館の役割とこれからの図書館像
これからの図書館
これからの公共図書館は、「市民生活、地域づくりに必要とされる図書館」、「社会の変化に対応し進化する図書館」である必要がある。
現代公共図書館の役割と機能
現代の公共図書館には、
[1]社会参加や生涯学習の保障
[2]子どもたちの読書の保障
[3]高齢者や障がい者の情報格差や社会的不平等の解消
[4]人々の仕事や生活に必要な情報の提供
[5]地方自治や市民活動の支援、地域づくりへの貢献
[6]地域のひろば、居場所となる
など多様な役割と機能がある。
こうした図書館を市民とともにつくることは、行政と図書館に課せられた責務である。

2. 国分寺市立図書館の現状と課題
国分寺市立図書館の現状
国分寺市は、現在までに中学校区に1館を目標に5館の地域図書館と、行政資料サービスを行う本多図書館駅前分館を整備し、市民の身近に図書館施設の整備を実現してきた。また、子どもたちや障がい者へのサービス、貸出サービスなどに見られるような、質的にも量的にも高いサービス水準を、専門職員を配置することによって達成してきた。
このような国分寺市の図書館施策とサービスは、高く評価されるものである。
国分寺市立図書館の課題
他方、次のような課題も存在する。
[1]地域づくりへの一層の貢献
[2]子どもたちへのサービスの充実
[3]高齢者へのサービスの充実
[4]障がい者サービスの充実
[5]情報サービスへの取り組み
[6]開館日、開館時間の拡充
[7]資料費の増額
[8]市の歴史・文化・風土に関する文献資料の完備
[9]中央図書館の必要性
[10]空白地域の解消
などである。

3. 図書館サービスへの提言
当面のサービス充実策
当面の図書館サービス充実のため、以下の諸点を提言したい。
[1] 社会の変化に対応した新たなサービスの展開
行政・議会への情報提供サービス、高齢者に対するサービス、多文化多言語サービス、開館日・開館時間の改善、インターネットによる情報提供、市民活動への支援など、新たなサービスの展開と充実が必要である。
[2] 資料の充実と資料費の確保
市民の資料要求の高まり、メディアの多様化に対応し、一般資料はもちろん、行政・地域資料、雑誌、青空文庫や携帯小説など電子的資料の収集、有料データベースの提供などが求められており、そのための十分な資料費が確保されるべきである。
[3] 子どもの読書環境の充実
子どもの読書環境充実のため、策定中の「国分寺市子ども読書活動推進計画」の実現とそれを点検する体制、図書館に子どもたちがくつろげ、語り合える場を整備すること、学校や学校図書館への支援、メディアリテラシー教育の充実が必要である。
[4] 図書館利用困難な人々へのサービス
障がい者関連の資料の充実、DAISYなどデジタル資料、点訳資料などの充実、インターネットを活用した情報の収集と提供が必要である。
また来館困難な人々に対する資料の配送回収サービス、来館支援の体制の整備が課題である。
[5] 施設設備の改善 -北口再開発ビル内に整備される予定の図書館-
国分寺駅北口再開発ビル内に整備される予定の図書館には、駅前に立地することを生かした新しいサービス、行政・地域資料サービス、開館時間の拡大、中央図書館の機能の一部、相当規模の施設面積の確保などが望まれる。
中長期的な課題・展望
中長期的な展望をもって整備すべき課題として、以下の諸点を提言したい。                  
[1] サービスの質的向上と中央図書館の必要性
本市の図書館サービスを質的に発展させるためには、相当規模の施設設備、収蔵資料規模、各種機能を有する中央図書館が整備されるべきである。
[2] 地域図書館の充実と西国分寺地区地域図書館の必要性
地域図書館にゆっくり過ごせるスペースやレファレンスコーナーが充実されるべきである。また、西国分寺駅南側地区が図書館サービス空白地区となっている。この地区に図書館が整備されるべきである。
[3] 恋ヶ窪図書館の改築の必要性と留意点
恋ヶ窪図書館は老朽化し、建替えの時期を迎えている。建替えは現在の位置に近い場所が選ばれるべきである。
運営体制等の改善
[1] 専門職員の配置と専門性の向上
図書館サービスは職員の専門性に依存する。それゆえ専門職員の配置と能力向上への努力が一層求められる。また障がいを持つ職員の図書館への配置も今後検討すべきである。
[2] 他の図書館や専門機関、類縁機関、行政部局との連携・協力
都立および近隣自治体の公立図書館、大学図書館との協力関係(コンソーシアム)、市内の専門機関、市の行政部局との連携を一層進め、質の高いサービスを実現すべきである。
[3] 指定管理者制度について
日本図書館協会の見解にも見られるように、指定管理者制度には問題点も多く、図書館への導入は十分慎重であるべきである。
[4] 市民との協働、市民参加の推進
市民との協働・参加を進め質の高い関係性を築くこと、図書館の自己評価を行い公表すること、利用者懇談会の充実を図ることが求められる。
[5] 図書館情報システムの更新
図書館システムに新たな技術を導入し、更新拡充する必要がある。その際、資料管理へのICタグの導入、検索機能の強化が図られるべきである。
[6] 館内インターネット端末の運用上の留意点
館内のインターネット利用に関しては、悪用されないこと、「踏み台」とされないこと、インターネット利用に関する指導が行われること、などに留意すべきである。
4. 新たな図書館計画の策定
国分寺市は、市民の期待に応え、社会の変化に対応する、新たな図書館計画を策定すべきである。